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おっぱいと私 ~会社員をやめてポールダンサーになった私の日常~ 第3回:走りたくても走れない

おっぱいと私 ~会社員をやめてポールダンサーになった私の日常~ 第3回:走りたくても走れない

2016年、はてなブログで「おっぱいが大きかったので会社員を辞めてポールダンサーになった話」と題するエントリーが話題をさらったポールダンサー・文筆家のまなつさんの連載第3回。胸が大きくなり始めた高校時代に直面した物理的問題や、素敵な出会いを振り返ります。

まなつ

まなつ

2017.6.10

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実は、私は中学生までガリガリで、おっぱいは平坦なままでした。
今でこそ、おっぱいちゃんと揶揄される程度には胸が大きくなりましたが、周りの子からも「小さいね」とからかわれ、少し気にしていたくらい。
このまま小さいままなのかな、まあそれはそれで仕方ないか、と諦めていました。
周りの子達がカラフルでおしゃれなブラジャーをつけているのを横目に、自分の身に着けるスポブラの素っ気なさにがっかりしたのを覚えています。

 
 

ところが、高校進学後。
私の胸は見る間に大きくなっていきました。
中学生の時は、低血圧に加えて運動不足で食欲もあまりなく、朝ごはんは食べていませんでした。
それが進学してからは自転車通学だったので、しっかり朝食、昼食を食べるようになったためでしょうか。

 
 

気がついたら、ブラが入らない。
この前買ったばかりなのに、サイズが合わない。
お店に行って改めて測ってみたら、ワンサイズ上がっている。
「成長期だからねー」とお店のおばちゃんは笑ってたけれど、私の気持ちは少し複雑でした。
この前買ったブラのデザイン、めっちゃ気に入ってたのにな〜と。
もうつけられないのか。そういうものか。自分の体の成長に理不尽さすら覚えました。
友達とお揃いで買ったのにな、とがっかりすることも。

 
 

新しいブラにも体が馴染んだかな、と思ってもしばらくするとまたキツイ気がする。
そんなバカな、この前ちゃんと測ってもらったし、サイズは合ってるはずなんだ!
何より、この可愛いブラがまたつけられなくなるのが嫌すぎる。
そう言って駄々をこねていたけれど、親の勧めもあって、今度は下着専門店に行くことに。
そこでお姉さんに測ってもらったら、更にツーサイズ上のものを勧められました。
お姉さんは綺麗で優しく、ありとあらゆる美しい言葉で私のスタイルや胸の形を褒めてくれます。
「今から正しいサイズのブラをつけてちゃんとケアをしていけば、大人になっても綺麗なバストのままですよ」とかなんとか。
ただ、私の頭にはそんな言葉は一切入ってきませんでした。
そんなこと言われても、ケアってなんですか、綺麗なバストってなんなんですかと。
ただただ、ああ、またこの可愛いブラがつけられなくなったのか……と、落胆していたから。
自意識が体の変化に追いついていけなかったのです。

 
 

気がついたら私の胸は、近所の下着屋にはまず売っていないサイズになり、専門店で買わざるをえなくなっていました。
それでも、「胸が大きい」という自覚はありませんでした。全くと言っていいほど。
自分の体なので客観視できないし、そもそも自分にとっては見慣れたもので、これが当たり前のサイズです。
それに、学校が制服ではなく私服だったから、それぞれ好きな服を着ていて、お互いを比べる要素がなかったんですね。
ダボっとした服を着ることも多かったので、尚更自覚がありませんでした。
ただ、ブラがきついなとか、シャツがきついなとか、その程度。

 
 
 

が、物理的な問題のおかげで「私って胸大きいんだ」とようやく気づくことになりました。
それは体育。走ると胸が痛い。
マラソン、短距離走が特につらい。
ふと、周りに「胸が痛くて走るのが辛い」って言ってる子がいないことに気がついたのです。
サッカーやバスケットボールなどの「走らなければいけない球技」も地獄でした。
もともと運動音痴な上に、胸が痛いから運動したくありません、なんて言ったらどうなるか。
体育の時間、周りに迷惑をかけっぱなしな自分が嫌で仕方ありませんでした。
走らなくていい水泳も、水着の胸のあたりが小さい気がする。
胸が目立つ感じがしてなんだか嫌だ。
結局、体育の授業は何をやっても苦痛でした。

 
 

そんな「胸が大きくて面倒くさい」と思い続けた学生時代を打破してくれたのは、彼氏の存在でした。
趣味を通じて知り合った彼は、よく言えば素朴。少し地味なくらいの優しい人でした。
話していてもいやらしい感じは微塵もない、爽やかな人。
たとえ夜二人きりになっても、なかなかキス以上に進まない奥手なタイプ。
いざベッドを共にするその時まで、私の胸のことには一切言及しなかった。
だからこそ良かったのだと、今ではよくわかります。
初めて心と体を許せた男性に、「胸が大きいね」と何もしないうちから言われてたら、多分幻滅していた。
何せ多感な思春期ですから、私の体以上に、私の中身に価値を見出してくれたんだ! と思いたいわけです。
彼も男だから、心の中では「胸が大きい!」と思っていたでしょうし、それを口に出して言いたかったことでしょう。
それを言わないでいてくれた、あの時の彼の真摯な態度こそが私を救ってくれたなあ、としみじみ感じます。

 
 
 

運動はしづらいし、ブラを探すのは大変。
下着屋のお姉さんの言ってることはよく分からない。
同級生の中にも、私の胸のことを噂している人がいるらしい。

 
 

それでも、彼氏もいるし、友達もいる、別になんてことないや。何か言われても、我関せず。
めんどくさいことよりも楽しいことの方がたくさんあったので、気にしないでいられました。

 
 

ですが、大人になるにつれ、仕事や恋愛、ありとあらゆる場面で、胸が大きいことが問題になっていきました。
つづく。

 
 
 

(まなつ)

 
 
 

おっぱいと私 ~会社員をやめてポールダンサーになった私の日常~

 

第1回:着たい服は着られない服
第2回:褒められ上手になる
第3回:走りたくても走れない
第4回:おっぱいと恋
最終回:自分の体と向き合う

 
 
 
 
 
 
 
 
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まなつ
ポールダンサー・文筆家。趣味は予約、特技は発券。 思いつきで行き先を変えるタイプの旅行が好き。 将来の夢は自分の本が本屋で平積みになってるのをInstagramにアップすること。
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